OPERA
都会では人がそこに出て外気を楽しんでいる光景は稀であり、時々見かける洗濯物は、恥ずかしげに干されているようで、建物まで引きの取れない都市部では生活そのものが露になり過ぎ、かえって建物と街との関わりを切断しているような違和感がある。今さらながら、今年解体された原宿の同潤会アパートでは、外壁に直接開けられた窓が様々な表情で積極的に街を演出していたことが懐かしく思い出される。やはり都市の建築は街を楽しみ街を演出するものであって欲しい。
この建築では、この点を再考し、バルコニーを内部に取込み、ここを日本建築の土間的な場所として扱うこととした。ここをインテリアバルコニーと呼んでいるが、ここは玄関でもあり、部屋の延長としても、半戸外としても機能する場所である。この内にも外にもなるという空間とするために、掃き出しの大きな窓を作ることにした。天気の良い日には、ここを開けて風をいれれば戸外にいるように街を楽しむこともできるし、グリーンをたくさん置いて眺めても良い。室内との仕切りは網戸を張った鍵付きのガラリ戸があり、窓を開けていてもある程度の安心感を保てる設えである。敷地の制約から階段を除けば1住戸約55m2なので、居住用からSOHOまでの柔軟な使い方を想定したワンルーム形式としたが、ワンルーム形式の場合、このインテリアバルコニーは、部屋の使い方をより柔軟に広げてもくれるものである。ここで提案した室内化されたバルコニーは、都市に於ける 集合住宅のあり方として一つの解法となり得る可能性を感じている。
インテリアバルコニーの窓は通りに対して一枚のスクリーンとして立ち上がる。スクリーンは街区としての輪郭を描き出す。このスクリーンは石造建築のように内部空間の内法で決定されており、正面から見たコンクリートのフレームの内側で均等に割り付けれている。コンクリート型枠、石が同じ寸法基準で割り付けられている。
青山通りと表参道の裏手にこの敷地はあり、1階を店舗とし、上階を集合住宅とした建築である。外から見ると集合住宅らしく見えないかもしれないが、ここにテーマとしたことがある。それは多くの集合住宅で通りに面して造られているバルコニーに改めて感じた疑問に始まっている。これらのバルコニーを郊外で見るのと都会で見るのとでは、同じものでも大きな違いがあるのである。
都会では人がそこに出て外気を楽しんでいる光景は稀であり、時々見かける洗濯物は、恥ずかしげに干されているようで、建物まで引きの取れない都市部では生活そのものが露になり過ぎ、かえって建物と街との関わりを切断しているような違和感がある。今さらながら、今年解体された原宿の同潤会アパートでは、外壁に直接開けられた窓が様々な表情で積極的に街を演出していたことが懐かしく思い出される。やはり都市の建築は街を楽しみ街を演出するものであって欲しい。
この建築では、この点を再考し、バルコニーを内部に取込み、ここを日本建築の土間的な場所として扱うこととした。ここをインテリアバルコニーと呼んでいるが、ここは玄関でもあり、部屋の延長としても、半戸外としても機能する場所である。この内にも外にもなるという空間とするために、掃き出しの大きな窓を作ることにした。天気の良い日には、ここを開けて風をいれれば戸外にいるように街を楽しむこともできるし、グリーンをたくさん置いて眺めても良い。室内との仕切りは網戸を張った鍵付きのガラリ戸があり、窓を開けていてもある程度の安心感を保てる設えである。敷地の制約から階段を除けば1住戸約55m2なので、居住用からSOHOまでの柔軟な使い方を想定したワンルーム形式としたが、ワンルーム形式の場合、このインテリアバルコニーは、部屋の使い方をより柔軟に広げてもくれるものである。ここで提案した室内化されたバルコニーは、都市に於ける 集合住宅のあり方として一つの解法となり得る可能性を感じている。
インテリアバルコニーの窓は通りに対して一枚のスクリーンとして立ち上がる。スクリーンは街区としての輪郭を描き出す。このスクリーンは石造建築のように内部空間の内法で決定されており、正面から見たコンクリートのフレームの内側で均等に割り付けれている。コンクリート型枠、石が同じ寸法基準で割り付けられている。
- 所在地:
- 東京都港区南青山
- 用途:
- 店舗+共同住宅(賃貸)
- 構造:
- 鉄筋コンクリート造
- 延床面積:
- 256.56m²
- 設計:
- 矢板建築設計研究所
- 統括:
- 矢板久明 矢板直子
- 担当:
- 大久保元彰
- 構造設計:
- 構造設計社 杉浦克治
- 設備設計:
- ZO設計室
- 施工:
- 池田建設
- 写真:
- 平井広行
雑誌掲載